金融商品取引業者の種類について調べてみた

金融商品取引業者の種類について調べてみたときのメモ

金融商品取引業者の種類

金融商品取引業者の一覧は金融庁のホームページから確認することができる。 こちらのpdfには各金融業者の種類の合計がまとめられているけど、令和元年6月30日時点だと第一種が少なくて第二種と投資助言、代理業が多いらしい。

第一種 第二種 投資助言・代理業 投資運用業 合計
297 1,207 988 383 1,968

第一種金融商品取引業と第二種金融商品取引業の違い
第一種金融商品取引業は、流動性の高い株券や債券などの有価証券を販売したり媒介、取次する業者であり、主に証券会社や金融先物取引会社などが登録している。
第二種は流動性の低い有価証券や不動産などを販売・媒介・委託する不動産業者や、私募(ファンド)を運営する企業なども登録している。

流動性に影響を与える要因として好きなタイミングで解約できるオープンエンド型と、買い戻しや解約を原則として認めていないクローズエンド型がある。 J-REIT不動産投資法人の携帯を取っており、流動性確保ためクローズエンド型で解約には応じていない。その代わり市場に上場することにより流動性を確保している。

第一種金融商品取引業

以下の業務を行う - 第一項有価証券の売買や市場デリバティブ取引、媒介、取次、代理など - 店頭デリバティブ取引またはその媒介、取次、代理 - 店頭デリバティブ取引についての有価証券等清算取次ぎ - 有価証券の引き受け - PTS業務について有価証券の売買又はその媒介、取次ぎ若しくは代理 - 有価証券等管理業務

第一項有価証券

第一項有価証券とは、金商法2条1項に掲げられる有価証券又は同条2項の規定により有価証券とみなされる有価証券表示権利若しくは特定電子記録債権をいう(金商法2条3項)。 具体的には国債証券、地方債証券、法人の発行する債券、特定目的会社の特定社債券、社債券、株券・新株予約権証券、投資信託・外国投資信託の受益証券、コマーシャルペーパーなどがある。

店頭デリバティブ取引

金融商品取引所などの公開市場を介さず、当事者同士が相対で取引を行うデリバティブのこと(デリバティブとは資産や商品などから派生した資産あるいは契約) 店頭デリバティブで取引されるデリバティブの原資産は金利と為替が多い。fxも店頭デリバティブに含まれる。金融機関と買い手である一般法人や個人投資家で店頭デリバティブの損失についての法廷闘争に至ったり、店頭デリバティブ取引が金融危機をより深刻化させるといった問題が指摘されている。 2007年からの世界的な金融危機とそれに伴うリーマンショックは監視が不十分な店頭デリバティブ取引の危険性を顕在化させた。特にやり玉として挙がったのがCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)で、大量のCDS保有するAIG(アメリカン・インターナショナル・グループ)が経営危機に陥った際には、AIG破綻による信用不安の一層の激化を防ぐためにFRB(連邦準備制度)がAIGの救済を行った

CDS・・・特定の会社等が倒産したとき等に、一方の当事者から他方の当事者に、あらかじめ定められた範囲の金額が支払われる。

店頭デリバティブの不透明性により生じる清算されない店頭デリバティブ取引を当局が十分に把握できない問題を防ぐためにも、2009年に行われたG20 ビッツバーグ・サミットで遅くとも2012年までに標準化された店頭デリバティブ取引はすべて電子取引で扱われ、CCP(中央清算機構)を介した決済が行われるべきであるとされた。CCPを介した決済とは従来、相対で行われていた店頭デリバティブ取引の資金決済について、証拠金を担保としてCCPが債務を引き受け個々の金融機関の代わりにCCPが資金決済を行うということである。

有価証券等管理業務 PTS業務(私設取引システム) 日本において、金融商品取引所を介さず有価証券を売買することが出来る電子取引システムをいう。現存するPTSはジャパンネクストPTSとチャイエックスPTSの2つのみで、証券会社はこの2つのPTSに対しての取次を行うなどする 場全体の業務効率化や取引システムの高度化など投資家の利便性が向上し、国内投資家のみならず海外投資家にとっても魅力的な市場形成に資することが期待されていた。 しかし法制度面の整備の遅れに課題があり、特に"市場外での5%超の買い付けは公開買付けを行う"と金商法に制定されていることで機関投資家の利用が実質的に制限されている。海外での利用状況と比較すると日本におけるPTS利用水準は低いといわれている。また、PTS市場において信用取引は認めらえていないのでレバレッジはかけられない。

PTSが信用取引を認めない理由として以下がある - 市場開設者としての立場と、顧客への資金や株券の提供者としての立場との間の利益相反の問題が顕在化するおそれがある
- 当該貸付業務の適切性を確保するため、PTSを提供する業者に対して取引所と同等の自主規制機能の発揮を求めることは現実的でない

有価証券等管理業務

  • 金商法2条8項1号ないし10号の行為に関する金銭又は第一項有価証券に該当する証券若しくは証書の預託を受けること
  • 社債等の振替を行うために口座の開設を受けて社債等の振替を行うこと。

第二種金融商品取引業

以下の業務を行う - 次に掲げる有価証券の募集又は私募 - 委託者指図型投資信託の受益権に係る受益証券、または当該受益証券に表示されるべき権利 - 外国投資信託の受益権に係る受益証券、または当該受益証券に表示されるべき権利 - 抵当証券 - 外国抵当証券 - 通常の信託受益権 - 通常の外国信託受益権 - 受益証券発行信託の受益証券、または当該受益証券に表示されるべき権利 - 第二項有価証券についての売買、市場デリバティブ取引、媒介、取次、代理など

第二項有価証券

第二項有価証券とは、金商法2条2項の規定により有価証券とみなされる同項各号に掲げる権利をいう(金商法2条3項)。 具体的には信託受益権(第一項有価証券に該当するものを除く)、外国の者に対する権利で信託受益権の性質を有するもの(第一項有価証券に該当するものを除く)、合資会社の社員権、合同会社の社員権、外国集団投資スキーム持分などがある

市場デリバティブ取引

市場デリバティブとは取引所に上場されているデリバティブのこと 大阪取引所の日経225先物、長期国債先物などがある 先物取引は、将来の一定期間後にいくらで取引するかを現時点で約束する取引のこと。もともとは天候や豊作・不作によって価格が変動しやすい農産物の取引から始まって、現在も、さまざまな農産物の先物取引が行われている。先物の期限が満了する月は限月と呼び、限月を過ぎた先物ロールオーバーをすることで新たにポジションを作ることができる。

投資助言・代理業

金融商品取引業のうち、次に掲げる行為のいずれかを業として行うことをいう - 投資顧問契約を締結し、当該投資顧問契約に基づき、助言を行うこと(投資助言業務) - 投資顧問契約又は投資一任契約の締結の代理又は媒介

投資運用業

  • 投資一任契約に基づき、投資者から投資判断や投資に必要な権限を委任され投資を行う。
  • ベンチャー企業の育成や事業会社の再生等を目的として組成されたファンドの財産を主として有価証券等への投資として運用を行う。

証券会社の収益構造

2016年9月の大和総研が公開している変容しつつある証券会社の収益構造とリテール証券が公開しているリテール証券会社2018年度決算の動向 ~ 進む収益構造の変化と提携戦略から現状の証券会社の収益構造がどうなっているのか見てみる。

収益源として委託手数料から、委託手数料以外のその他受入手数料(募集手数料など)に移っているらしい。中小証券は委託手数料への依存度が高い一方大手証券はより散文化しているので、この収益構造の変化が中小証券にとってはダメージが大きそう。

こちらのページでは店舗型証券とネット証券で収益構造に大きく違いがあり、店舗型証券は手数料が安くなったことによって大打撃とのこと