Hyperledger fabric のユースケースを調べてみた
エンタープライズでのブロックチェーン
公式サイトの方に説明があります。
hyperledger-fabric.readthedocs.io
ブロックチェーンを使った技術として Bitcoin や Etherenum などの暗号資産が有名ですが、エンタープライズ向けのユースケースで活用する動きが出てきていまして Hyperledger Fabric は最初からエンタープライズ向けとして設計されています。
エンタープライズ向けということで以下を念頭に設計されているようです。
- 参加者が特定されている/特定可能であること
- ネットワークが 許可型 であること
- 高いトランザクション・スループット性能
- 低レイテンシでトランザクションが確定すること
- 実際の商取引にかかわるトランザクションとデータのプライバシーと機密性の保持
また Fabric のプラットフォームの特徴として許可型ということがあるようです。Bitocin などの暗号資産ではマイナーに対して報酬を与えることでマイナーの計算量によるセキュリティが保証されていて、Fabric では保証もないのにネットワークが信頼されたものか気になったのですが、元からネットワークを許可型とすることでお互いに完全に信用できるとまではいかずとも悪意のあるノードを防いでいるようです。それから、許可型とすることでコストのかかるマイニング(proof-of-work)は必要とせずクラッシュ故障耐性やビザンチン故障体制をもつ合意形成プロトコルを使用できます。
Fabric は、ネイティブな暗号資産を必要とせず、他の分散システムと同様の運用コストでプラットフォームをデプロイできるとのことです。
ユースケース
具体的にどういったところで利用されるのかイメージがつきづらいので以下のユースケースを見てみました。
シエラレオネでの分散 ID システム
個人情報を識別するためのインフラが整っていない国だと銀行などの口座が作ることが出来ない。 シエラレオネでは社会的な信用を示す身分証がなく銀行の口座を作れない人が問題だったが、指紋等の生体認証データから個人の ID を特定できるようにし、これを身分証の代わりとして機能させることで、国民に銀行口座の代わりとして融資が受けられるようにした。 eKYC 認証出紐づける個人 ID をブロックチェーンで分散管理することで、身分証がなくても個人を特定できるようにするのか。
米国の保険業界の規制レポートの合理化
保険業界内で効率的で安全なデータ収集と共有にブロックチェーンを利用。 自然災害発生時に州の規制当局は消費者保護の観点から保険会社に影響を受けた資産に関する情報の送信を依頼する。50 の州の規制当局が様々な形式のデータを要求するため保険会社はどこにどの情報を許可するかの作業に追われる。 ブロックチェーンではドキュメントのアクセス権の制御ができるので、この作業が楽になる。
ウォールマートでの食品サプライチェーンへのブロックチェーン活用
食品サプライチェーンについてブロックチェーンを活用することで、食品の製造元から特定で来るようにすることで食中毒などが発生した際に廃棄対象を判別できるようになり食品のロスを減らすことが出来る。 食品供給エコシステム全体のトレースシステム構築は長年の課題で、ブロックチェーンは信頼性、不変性、透明性に重点を置いているためこの課題に適している。 マンゴーの生産地を追跡するのに必要な時間が今まで 7 日かかっていたのが、2.2 秒になった。
大まかな適用範囲について
いくつかユースケースを見てみましたが、ブロックチェーンを以下の特徴を持ったインフラとして利用しているように思いました。
- 身分証明
- ドキュメントの範囲指定での共有
- ドキュメントの履歴のトレース
身分証明としての活用として詐欺対策や今でしたらハンコなどもブロックチェーン化するのが考えられるかと思います。 詐欺対策ではチケットで活用されたり